会社設立の際に必ず決めなければいけないことの一つに決算日(期)がありますが、1度決めたら変更できないという訳ではなく、会社設立後も自由に変更することが可能です。

決算日(期)の変更手続き

決算日(期)を変更するにあたって、会社設立のときに定款に決算日を設定しているので、まずは株主総会の特別決議が必要になり、議決権の半数以上を持つ株主が出席して、議決権株式総数の3分の2以上の賛成が必要になります。

なお法務局に取り寄せができる登記簿謄本には決算日は記載されていないので決算日(期)を変更しても登記手続きは必要ありません。

株主総会の特別決議で決算日(期)を決定した後、株主総会議事録の控えを添付して、税務署、都税事務所、市役所など異動届出書を提出します。

決算日(期)はいつでも変更することが可能ですが、事業年度は1年を超えることはできません。また、個人事業主の決算日は変更することができず、必ず12月31日になります。

決算日(期)を変更することによって節税対策が可能

決算日(期)を変更することによって節税対策をすることが可能です。例えば、期末に急に多額の利益が発生することがあらかじめ分かっていた場合、従来の決算日(期)だと最後に多額の利益が計上され多額の納税が発生します。

決算日(期)前倒しにすることによって、多額の利益を翌期に繰り越すことができます。ただし、この方法はあくまで翌期に利益を繰り越しただけなので、改めて節税対策を検討する必要があります。

決算日(期)を変更することで役員報酬の変更ができます

役員報酬を変更するにあたって厳格なルールが定められていて、事業年度の途中で変更することができません。もし事業年度の途中で役員報酬を変更した場合、変更した部分は経費として認められないことになります。

ただし、あくまで事業年度の途中で役員報酬を変更することができないということだけですので、決算日(期)を変更した場合、新しい事業年度がスタートすることになるので役員報酬を変更したとしても全額経費として認められることになります。

決算日(期)を変更することで消費税届出書の提出忘れをリカバリーすることができる

消費税の特例は課税期間が開始する日前にあらかじめ届出書を提出する必要があります。しかし実務上は届出書の提出を忘れているケースが少なくなく、申告書を提出する段階になって忘れていたことに気づくこともあります。

このように消費税の届出書の提出を忘れた場合、決算日(期)を変更することによってリカバリーすることも可能です。

例えば、4月1日から3月31日が事業年度の会社の場合、本来であれば前期の3月31日までに届出書を提出しなければいけないのを忘れていて5月中に気が付いた場合、5月31日に決算日(期)の変更をした上で5月31日までに届出書を提出すれば6月1日から特例の適用を受けることができます。

決算日(期)を変更した場合のデメリット

決算日(期)を変更した場合、過去の決算と期間が変わるので業績分析がしにくいというデメリットがあります。