資本金の仕組みと金額による違い

会社を設立する上で必要不可欠になるのが資本金です。資本金とはその名の通り会社を経営していくための運転資金のことを指します。

かつての日本では株式会社の設立は1000万円、有限会社は300万円とそれぞれ最低金額が決められていました。しかし、平成18年の新たに施行された会社法によってこの最低金額が撤廃され、自身の判断で自由に金額が決められるようになったのです。

そのため、極端な話として資本金が1円でも会社を設立することはできます。とはいえ、資本金は取引先や銀行から借り入れをする時の信用のバロメーターにもなるので注意が必要です。少しでも良い印象を与えるためにもそれなりの金額にすることが望ましいと言えます。

ただし、銀行から借り入れをする際に関しては会社の業績が重視されるケースが少なくないため、しっかりと利益さえ出せていれば資本金についてそれほど心配する必要はありません。

資本金の金額によって受けられる特例

日本では資本金の金額によって免税や特別控除といった特例が受けることが可能です。

資本金が1000万円未満の場合、消費税法9条の事業者免税が適用されます。これは新規で会社を設立してから2事業年度の期間に限って消費税が免税となる物です。例え数%とはいえ、金額によっては高額になる消費税が免除されるのは大きなメリットと言えます。

また、1000~3000万円の資本金の会社は特定中小企業者という位置づけで一部の特別控除が受けられるのが特徴です。主な内容としては、事業に必要となる機械などを購入した時の法人税からの直接控除になります。

そして、最も多くの特例が適用されるのが3000万円~1億円を資本金にしている会社です。

例として挙げると、800万円以下の所得による15%の税率の軽減、およそ9年間に渡る欠損金の全額繰越控除の適用など数多くあります。これらを上手に活用することで年間300万円以上の節税が可能です。

節税を基準に決める資本金の目安

会社として支払う税金には様々な物がありますが、中でも資本金の金額で大きく左右されるのが住民税です。

住民税というと個人に掛かる税金と考えている人も少なくありませんが、個人とは別に会社にも適用されます。法人住民税と呼ばれるこの税金は、会社を設立した時の資本金を基準に計算される仕組みです。

一般的に目安とされている金額が1000万円で、この金額を超えるか否かによって10万円前後の違いが出ることも少なくありません。前述したように資本金を1000万円以下にすると設立から2事業年度は消費税の免税が受けられることから、この法人住民税と合わせて大幅な節税が可能です。

日本はお金の動く所に税ありと言われるように、会社を経営していく上で税金の支払いは避けては通れません。そのため、長期的な経営と節税を視野に入れながら資本金を決めることが大切と言えます。