KSKシステムとは、国税総合管理システムの略称で、全国にある国税局や税務署をネットワークで結んで納税者の申告データを一元管理するシステムで平成13年に全国で導入されました。

KSKシステムには過去の税務申告関係のデータが全て保管されているので、税務署が税務調査の対象を選定する際などに利用されます。また、預貯金の取引や金融資産、不動産の購入や移転などの財産の流れも保管されています。

例えば、税務署が任意に依頼している一般取引資料せんのうち、売上、外注費、仕入などの取引先データもKSKシステムに保管され、例えば一方の会社では経費に計上されているのにもう一方の会社では収入に計上されていないなどが一目瞭然になります。

またKSKシステムには、主な損益科目や貸借科目の数字が並べられており、売上総利益率や棚卸回転率などの各種指標が記載されていて、これらの指標に異常値があるとアラームが出て、最終的に調査官が五感を元に調査対象法人を選定していると言われています。

ですので、よく「小さい会社には税務調査に入らない」や「赤字の会社には税務調査は入らない」ということを耳にしますが、もちろん規模が大きい会社の方が税務調査が入りやすいのは事実ですが、小さい会社や赤字の会社でも異常値がある場合には税務調査は当然あります。

相続税でもKSKシステムが利用されている

KSKシステムは、法人税や所得税だけでなく相続税の税務調査においても利用されています。

相続人の中には、税務署は上場株式や金融資産を把握していないと思い、相続税申告の際に除外して申告するケースがあるようですが、KSKシステムは個人や法人が所有している株式、過去の不動産取引、給料データなども収集しており、被相続人が死亡した際にそのデータを利用していると言われています。

ですので、相続人から相続税申告書を提出された場合、被相続人の過去の収入や資産と比べて申告書に記載された内容が低いと判断された場合には税務調査の対象になります。

国外財産の把握にもKSKシステムが利用されている

国税庁は近年、海外資産に対しての監視を強化しています。

国際取引は租税条約に基づいて国同士が情報交換を行っており、100万円を超える海外との送受金があった場合、金融機関から税務署に国外送金等調書が提出され、また国外財産の合計額が5,000万円を超える納税者は、税務署に国外財産調書を提出しなければいけません。

この国外送金等調書や国外財産調書の内容が将来の税務調査の際に利用されます。