最近、資金繰りがきついので社会保険料を支払うのが辛い、将来的に社会保険に加入したくないので個人事業に戻りたいという声を聞くことが増えています。

特に社会保険料は税金と同じくらい負担感が重くかつ税金とは違い赤字であっても支払う必要があります。また最近は法人税の税率が低くなってきていることもあって、以前と比べてより一層、社会保険が経営に及ぼす影響力が大きくなってきています。

法人成りをすれば節税できるけれど社会保険料の負担が発生します

一般的な節税対策の方法として個人事業で一定以上の所得が発生している場合、会社設立をして法人化することが一般的でした。確かに税金だけ考えればそのとおりです。しかし、会社設立をすると年金事務所は会社の存在を把握するので、いずれ社会保険への加入を促す通知が送られてきます。

以前は小規模の会社には社会保険が未加入であっても加入の催促はそこまでうるさくなかったのですが、社会保険の未加入問題の影響もあり、規模を問わず社会保険に加入していない法人に対しては必ず加入を促す通知書を送っているようです。

確かに法律で決まっていることなので会社設立をしたら社会保険に加入しなければいけないのですが、社会保険に加入をした結果、資金繰りが厳しくなって払えないという事になったら本末転倒です。ですので節税額も大事ですが、社会保険料の負担額も考慮した上で法人化を検討すべきです。

個人事業主に戻るメリット

法人化した場合、赤字であっても最低7万円は税金が発生しますが、個人事業主が赤字の場合は基本的に納税は発生しません。また法人化した場合、小規模であっても税理士に依頼しなければいけませんが、個人事業主の確定申告は税理士に頼まず自分でできる場合もあり経費を節約することができます。

なお個人事業主に戻る場合に気を付けなければいけないのが、業種によっては個人事業であっても従業員が5人以上だと社会保険への加入が強制になるので注意が必要です。

個人事業主に戻るデメリット

従業員を採用するにあたって社会保険に加入していないことは印象が良くないので優秀な人材を確保するのが難しくなります。また法人に比べて信用力がなくなります。

マイナンバーと社会保険の未加入

マイナンバーは個人だけでなく法人も対象になるので、マイナンバーを元に社会保険に加入をしていない法人を把握するのも難しくないようです。実際に私どもの顧問先にも会社設立をして数日後に年金事務所から社会保険の加入状況に関する通知が届いています。

なお、社会保険は法人だと強制加入が原則なので、1人でも給料の支給を受けていれば加入義務が強制的に発生しますので、払えないからという理由で逃れることはできません。